延長モラトリアム

その辺歩いてる大学生→new! その辺歩いてる会社員

4月1日

とうとう社会人になってしまった。

自分から最も遠いと思っていた、会社員という肩書きが背中に貼りついている。

 

大学に残り、なんとなく研究職に就くのだろうと思っていた。

今、目の前に広がる景色があまりにも想像の範疇から外れていて、今日までも、そしてこれからも、他人の人生を歩んでいる感覚が続くのが分かる。

 

絶対にOLになんかならない。

センター分けの黒髪ボブで、生地も色も薄い服を着て、明らかに自然に生えているとは思えない黒々とした眉毛。コンビニに行けばサラダを買い、週末にはヨガスタジオに行く。

 

嫌悪していた。

いつも外見だけで性格や趣味嗜好を判断されていたことも、自分がそうした未来にぴったりな外見をしているということも。

 

家族や親戚の中に年齢の近しい存在がいなかったので、モデルロールとなる''会社員''のイメージが乏しくなることに拍車がかかった。

 

入社初日、家族は久しぶりの社会人だと喜んだ。

桜が咲いても、もう切ない気分になることもなくなった。

穏やかだった。

 

 

元々行きたいと思っていた業界とかなりかけはなれた職場を選んでしまい、転職を狙いくすぶり続けているのが現状である。

そもそも会社勤めをしている姿が想像できず、もしかしてプー太郎になるのか?と考えつつ国外をうろついていると、あれよあれよと訳の分からないうちにいつのまにか就職が決まっていた。そんなわけでIRもろくに知らないどころか会社の概要すら見ていなかった。その後調子をこいて気になる大手に数社出したところ、付け焼刃とノリの合わせ技を見破られて落ちた。(でも嬉しかった)

学生時代に教科書をの文字通り読み上げる大教室ライブから逃げ出し、適当なベンチを見つけてはおおよそ「周囲に振り回されまくった」という内容の日記をちまちま書いていたのだが、それがそのままとある会社のエントリーシートに活きるとは思わなかった。面接でその内容を「いいね!」と言われたことが嬉しくて、こうしてまたくすぶりを綴り続けるという、新たな自慰行為を覚える羽目になっている。

 

 

その日の昼は同僚とコンビニへ昼ごはんを買いに行った。小さなプラカップに入った野菜を手に取りレジに行く姿を後ろから見ていた。これがいわゆる....と思っていた。

職場に戻るとその人はいきなりタッパーに入った芋を取り出して、豪快にサラダと食べ始めた。なんで芋???と思ってみていると

「これ好きなんだよね」とさらりと言った。

そうか、と思った。

「ガス溜まりまくってやばいけど、まだ(出してないから)大丈夫」

後日そう言ったその人とはとても仲良くなれそうな気がした。